ウロボロス 最終話

ついに、、ついに終わってしまった…。ウロボロスにふさわしい本当に美しいラストでした。

復讐のため、様々な事をしてきた2人ですから、最後は死ぬか逮捕されるか逃亡するかというようなラストしかないと思っていたし、自分としては「ウロボロス」という事から2人がお互いを殺す、もしくは2人とも自死するというラストをぼんやり考えていました。途中でイクオと美月の関係が濃くなったのもあり、イクオはどういう決断を下すのか、というのも見所の一つでしたが、やはりイクオの性格上竜哉と離れて美月と幸せに暮らすということはあり得ない選択だと思ったし、刑務所で2人で離ればなれになって入れられるのも全く考えられなかったので、この結末は2人にとってのハッピーエンドだったと思います。メリーバッドエンドって単語初めて知った。確かにこれは最上のメリーバッドエンド。2人にとっての真のバッドエンドはどちらかが1人だけ死ぬ事、解り合えずに死んで行く事だと思っていたので、そうならなくて本当に良かった。違う道を選ぶ事も出来たけど、20年の歳月はあまりに重かった。自死は勿論何も生まないし、良くない事。でも、目的を果たした後の竜哉もいない何も無い世界で、生きて行くほど強くなかった、と私は解釈しています。

見終わった瞬間、終わってしまったんだと言う喪失感がすごかったのですが、それと同時に満足感もすごくて。やっぱりそれは2人が最後笑顔で終われたから。死んだ姿で2人が終わるのではなく、子供の頃と同じようにオムライスを頬張る2人の姿がそれはそれは幸せそうで、この結末は2人にとって良かったんだと思える事が出来たからだと思う。だから2人が死んだ姿を映さないという演出は非常に好きでした。映ってたら完全に魔王の焼き直しだっただろうし、魔王と違ってイクオの場合は自死だから。どこを撃ったかはわからないけれども、見たくないものになっていたでしょう。美月の無音の慟哭と、中年トリオの顔を見れば、痛いほどわかる。

北川が本当に愛してたのはイクオの母だったし、そこから上司に言われるまま結婚した北川は虚ろな人生を過ごして、歪んだ狂気を愛だと信じ込んでいた。でも、そんな人ですらも家族がいる。北川は家族を愛してなかったかもしれない、でもその家族には確かに愛されていたのを痛感し、最後にイクオに父殺しをさせなかった竜哉は本当に優しいやつだ。北川は殺して欲しかったけど、殺してやらなかった、それこそが復讐になるのかもしれないなぁ。2人のとって仇を殺す事が表向きの目的だったけど、本当の目的は、20年前の真実を知る事だったし、「知る事」が出来たからこそ、辞める事が出来たのだと。

「この愛こそ、正義。」「この愛は正義だったのか?」という問いに、私自身は答えを持たない。誰も知らない。ただ、家族を渇望し、家族への愛が過ぎてしまった為に、家族の中に帰って行った。その終着が、殊更に美しかった。

うーん賛否両論あるかもしれないけど、私に取っては納得感があって、3ヶ月見て来て本当に良かったと思うラストでした。



以下、とりとめもなく。

最終回もものすごい情報量で、ほとんど心情も決意も大事な情報も台詞でやりきっていたなーと。時間がない分、そこが惜しかったですね。。

北川宅からの後半のシーンはもう斗真も旬くんもすごい役への没頭っぷりで圧倒された。濃密なやり取りだった。いやもはやイケパラで恋敵で親友だったあの2人が8年後にこんな濃密な芝居合戦をやるとは夢にも思ってなかったよ。あのラジオできゃっきゃしてた2人が。あーー旬斗真最高だ、と改めて実感。お互いが高め合ってたからこそ、こういうシーンになったのかと。役者だよ2人とも。ただでさえすごいシーンなのに改めて見返すと感動が増幅してしまう。
竜哉ががしっとイクオの頭を抱えた瞬間、イクオが涙を流し。「終わったな、全部」と言った瞬間に竜哉が涙を流し。もうここぞ!ってタイミングで涙が綺麗に流れるのね。あーーー好き、ここ好き。
まほろばで向かう車の中での、ビデオを見た竜哉がうらやましーだろーと子供みたいだったのも、良かったね。イクオは結局ビデオ見れなかったのが哀しいな、、やっぱり泣くのだろうか。子供みたいに泣くたっちゃん、、もっと早くあのビデオ見たかったよね。。(涙)竜哉を逝かせないように必死で喋るのだけど、竜哉が逝ってしまったとわかったときのイクオが、静かに哀しい顔になってたの、、ああ(T_T)
まほろばに着いた後の「着いたよ、たっちゃん。・・・・・・たっちゃん」ここの2回目のたっちゃんの台詞が狂気に溢れすぎてて、戦慄した。やっぱりイクオはもう竜哉の存在が最後のストッパーだったんだなと。今まで壊れそうになっても留めて来てくれたのが竜哉で、その竜哉がいなくなってしまったら、イクオは壊れてしまうんだな…。その後の壁にもたれたシーンの壊れ具合も、死へ向かう目も、本当に説得力があって、ただ斗真の演技力に感嘆せざるおえなかった。ちょっと前半はオーバーアクト気味(まぁそれにしても、そんなに笑わないでくださいよ旬くん!!)だったので、後半の抑えた壊れ方が際立ってて、良かったなぁ。。まぁほめ過ぎなのでたまには駄目だししないとね。。。(笑)銃声は響かせず、目を閉じた後にそのまま幻に突入する演出も好きでした。「おかえり」「ただいま」というまほろばへの郷愁。大人になれず子供のままだった2人は、「このままじゃ結子先生に怒られる、顔向け出来ない」とどこかで思っていた節があったから、結子先生の言葉に、2人は安堵したのではないだろうか。子供の姿に帰って、美しいラストだった。
正直イクオと竜哉はすごく2人にあっていたから、ここで綺麗に幕引きになってしまったのは名残惜しいな。でもまた、いつか。生田斗真小栗旬ならこの役を引きずる事無く共演できると思ってます。


一番辛い存在となってしまった美月ちゃん。父も殺され、愛するイクオも失ってしまった。しかし最後の美月の強いまなざし、出で立ちが素敵すぎて、美月ならきっとやっていってくれるだろうという気持ちにさせてくれた。
イクオの「ごめんね日比野さん、君に会えて良かった」という言葉は確かに本心だったし、イクオに光を与えてくれた美月は本当に大切な存在だったなぁと思う。イクオの脳裏に今まで殺して来た映像が思い浮かび、(メタルさん殺してた姿が出てくるとはな〜〜〜いや〜〜ウラバラスでも言ってたけどニクい演出です!!)美月と一緒にいられないと決意するのはとてもスムーズな流れだった。ただ、美月ちゃんのイクオが大切すぎて「もう終わった。この部屋も模様替しなきゃ」みたいな発言はね。ちょっと突っ走りすぎてたね。このへんちょっと美月ちゃんをいいように使いすぎてたかも、ごめんね美月ちゃん。(誰)
他の作品と比較して書くのはあまり良くないのだけど、魔王のときは栞ちゃんは可愛かったけど2人とは対等な存在ではなかった。癒しの存在では勿論あったけど、美月まで対等な関係まで持って行けなかったので、最後の死んでしまった無念さが弱かったと思っていて。美月の場合、限りなく対等でイクオを最後までぶれさせた事により、無念さがより一層際立っていた。この2人の関係が濃くなってウロボロスの作品の後半の面白さに輪をかけていってくれたと感じているので、ここの配役に上野樹里ちゃんを置く事が出来たのは奇跡だな。美月が上野樹里ちゃんで本当に良かった!2人の相乗効果がすごかったので、今度は幸せな感じでまた共演するのを見てみたいな(T_T)


脇を支えた中年トリオの存在は、本当に必要不可欠な存在だったなぁ。この時期にこの3人を抑えられたのも奇跡。
蝶野さんは最後まで一本筋を通して「刑事」を貫いていて、格好よかったなぁ。滝藤さん出てたらもう問答無用でいい作品だ、って思っちゃいそう。予告犯にも出るみたいなので楽しみです。
三島さんは最後までお茶目で。うーん最後にどんでん返しで悪い人じゃなくて良かった。安心感がものすごかった。
橘さんも最後まで凛としていて素敵だったなーー。こういう綺麗で存在感ある上手いこの年代の女優さんって貴重だなぁ。。
この3人と美月がまほろばに集まって、2人の最期を見るというのが、何か悲しい大団円的な形に思えた。


深町は最後まで本当にベストオブ片腕でした。最後に本音聞けて良かったね。。竜哉の思いを汲んで美月を止める深町せつなすぎたし、オムライス食べながらの深町の涙はぐっとしたなぁ。。。。ムロさんウラバラスも含めて本当にありがとう(T_T)

そうそう、オムライスが新宿キッチンは直線のケチャップで、深町のオムライスがナミナミ(というか、ジグザグ)のケチャップだったの、初見では気づかなかったのですが、指摘されてる方がいて芸こまか!て感心してしまいましたわ。ケチャップ大事だよね。というか、オムライスがここまで大事なキーポイントになるなんて、思わなかったよね。。ウロボロスを最後まで見終えた人は、残されたドラマの中の皆と同じく、オムライスを食べるたびに、どこかで2人の事を思い出してしまうんじゃないかなと。まさに記録よりも記憶に残るドラマになったんじゃないかな。


ウロボロスは漫画的でともすれば荒唐無稽な話を、役者魂溢れる俳優陣と、良い物を作ろうとするスタッフ陣と、楽しんでもらおうというサービス精神と色んな愛が詰まった熱量のある良いドラマでした。斗真自身が熱望したウロボロスという作品が、良い物になって本当に良かった。この作品で斗真、またしても一皮むけたね。これは間違いなく代表作の一つだ。最終回を見終えた生田さん、「30年生きて来て今日が一番幸せ」と言ったみたいですが、そういう仕事にどんどん出会えて行ける事が幸せだよね。今後の活躍が、ますます楽しみです。
ひとまず、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。




見終わった後の余韻がものすごくて、重い気持ちをどう処理していいかわからなくて、すぐウラバラス見たんですが、まさかのりゅうせいくんからの姪っ子メールにほっこりしてしまいました。家族っていいねぇ(涙)